終わりがない

ちらかって片付かない日々。車、バイク、カメラ、自転車、ギター、ガレージ、旅、その他。

愛しの68' 911S

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1968年式 Porsche 911S。この個体はホイールベースが伸びる前の、いわゆるショートホイールベースSWB)のS。2リッターのキャブレター車だ。

この車を手に入れて何年経っただろう。昨今のクラシックカーの高騰ぶりには頭がクラクラする思いだが、手に入れるときには既に見たことがない値段になりつつある頃で、随分悩んで購入した。SWBのSとなるとタマ自体がそもそもない。程度は見るからによくなかったのだが、次に出会えるのはいつだろうと買ってしまったのだ。

購入してから手を入れた箇所は数知れず。大改修だけでも、フロアを全面張り替え、フロント左・リヤ右の事故修復がいい加減で長時間フレーム修正機にかけて引っ張り、元の寸法を出した。足回りはトーションバーを含めてほぼやり直した。エンジン周りは油圧低下が顕著で、オイルラインをすべてやり直した。細かい修復などはその内容を忘れてしまっているほどに数多く行った。

タイプ997の素のカレラ、そしてGT3も乗った。しかし自分にとって911とは、68年の夏にホイールベースが伸びる前の911こそが、デザイン的に最もバランスが取れていると感じる。4座を実現するためにリヤにエンジンを追いやった911は、ある種このモデルでパッケージ(バランス)的にカツカツなのだと思う。以降はポルシェが真摯といえば真摯に、意地といえば意地でなんとかバランスさせてきた車なのだろうと思う。それは車のラインを見れば一目瞭然。74年以降の911は、どこかデザイン的にとってつけたような無理がある。またミドシップボクスターやケイマンに乗ってみればよくわかる。911が如何にトリッキーな車であるか。

フェンダーがボリューミーになる前の、ホイールベースが伸びた74年までのナローが、911のスタイルを最も魅力的に見せるモデルだろうと思う。WBが伸びたことでスタイルに安定感も生まれた。このSWB911は、少し安定感を欠いたヒョコヒョコっとした愛らしい雰囲気がある。そして、自分が最初に釘付けになったのはSWB911。だからこそ、いつか手に入れたいとずっと思ってきた。

おおよそ、手を入れたかったところはすべて入れ終わり、ここに来て完成。自分が車を運転できなくなるまで、この車には世話になろうと思っている。こんなことを記すのは嫌なのだが、購入した店は本当に車好きを食い物にするようなとても褒められたショップではなかった。それでも承知して買った。自分がいい物に仕立て直すと。手に入れたからには、もし自分の次に乗る人が現れても、愛される車であるように手を入れ続けるのが責務みたいなもの。バンバン踏んで、元気に走らせていく。

スロットルを踏むと現代の911のように蹴飛ばされるような速さはない。それでもリヤエンジンのおかげでリヤに加重が掛かり、スロットルとラグなく車が進む。この感覚はRRならでは。そしてバイク乗りにはたまらない似た乗り味。この楽しさがずっと続きますように。